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あたしの王子様
 サポートジョブの秘密を手に入れたSacraは、いよいよバストゥーク共和国に向けてセルビナの町を発った。
 バストゥークはここから南に向かった場所にある。そこに行くには、まず凶悪なゴブリンがひしめく砂丘地帯を抜け、薄暗い洞窟をくぐらなければならない。
 Sacraはベテラン冒険者の慎重さで、ゴブリンの見ていない隙を潜り抜け、なんとか洞窟の入り口まで辿りついた。ここから先は、小さなコウモリ程度しかいないはずだ。
 すっかり安心して洞窟に足を踏み入れると、いきなりゴブリンに出くわした。
 「ゴ、ゴブ、……むぎゅう」
 助けを呼ぶ間もなく、ゴブリンに惨殺されるSacra。薄れゆく意識の中で声が聞こえたような気がした。
 「今、助けに行くぞ〜」
 Sacraが目を覚ますと、ぼんやりした赤い塊が見えた。
 「魔法で治療したが、まだ衰弱している。今は動かない方がいい」
 赤い塊がしゃべった。だんだん視界がはっきりしてくると、それは全身赤い装束に身を包んだヒュームの貴公子だった。
 「あ、あなたは……?」
 「俺は『黒い旅団』のApalだ。悲鳴を聞いて助けに来た」
 なんて優しい人だろう……Sacraの胸に熱いものが込み上げてきた。
 「泣いてるのか? どこか痛むか?」
 「ううん、なんでもない。なんでもないの」
 Sacraは目に涙を浮かべながら、Apalに微笑んだ。
 「ねえ、背を低くして」
 「ん? こうか?」
 「ちゅっ」
 それが、SacraとApalの運命の出会いだった。
 「どこに行くつもりだったんだ? 俺が連れて行ってやろう」
 「そんな……悪いよ」
 「気にするな。同じ旅団の仲間じゃないか」
 ああ、この人はあたしのことを、こんなに想ってくれている。きっと、白馬……じゃなくて、チョコボに乗った王子様に違いないわ。
 「王子様って呼んでいい?」
 「勝手にしろ」
 「王子様、ありがとう」
 衰弱状態から回復したSacraは、Apalと共に南へと旅を続けた。
 やがて、大きな風車が回る高原地帯を抜け、ゴツゴツした岩場の多い鉱山地帯に出た。元々バストゥークは鉱山が発展して出来た街だ。あちらこちらに採掘の跡が見える。
 「足場が崩れやすいから注意しろよ」
 「うん!」
 この頃になると、SacraはすっかりApalに恋をしてしまっていた。Apalに手を引かれ、巨大な滝のそばの岩場を抜ける。思わず顔が赤らむSacraだった。
 やがて、前方に岩をくりぬいて作られた門が見えてきた。あれがバストゥークだ。
 「着いたぞ」
 「連れて来てくれてありがとう」
 「じゃ、俺は帰るからな」
 「また、会えるよね?」
 「もちろんだ」
 Sacraは立ち去ってゆく赤い貴公子に、いつまでもいつまでも手を振っていた。
| 日常 | 10:07 | comments(0) | trackbacks(0) |
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